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ストレスチェック義務化とは?50人未満も対象に|産業医が教える実施の流れと活用法

  • 執筆者の写真: Nabefa
    Nabefa
  • 2月10日
  • 読了時間: 7分

更新日:15 時間前

「うちは50人未満だからストレスチェックはまだ必要ない」——その認識は、もう古くなりつつあります。


2025年5月、労働安全衛生法の改正が公布され、これまで努力義務だった50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が義務化されることが正式に決まりました。施行は2028年5月までに行われる予定です。


私、薮野淳也は15社以上の企業で嘱託産業医を務めていますが、すでに50人以上の企業でも「ストレスチェックをやりっぱなしにしている」という課題を多く見てきました。義務化の対象が全事業場に広がる今こそ、制度の目的と正しい活用法を理解しておくことが重要です。


この記事では、ストレスチェック制度の基本から、50人未満への義務化のスケジュール、実施の流れ、高ストレス者への対応、そして結果を職場改善に活かす方法まで、現役産業医の立場から解説します。



ストレスチェック制度の基本と最新の法改正


現行の義務化対象


現在、ストレスチェックの実施が義務づけられているのは、常時50人以上の従業員を使用する事業場です。50人以上の事業場では産業医の選任義務もあり、「50人の壁」として知られています。詳しくは「産業医選任の完全ガイド」をご覧ください。


50人未満の事業場への義務化|2028年までに施行


2025年5月14日に公布された改正労働安全衛生法により、50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が義務化されます。


・施行時期: 公布から3年以内(最長で2028年5月)。具体的な日程は今後政令で決定


・背景: 50人未満の事業場でのストレスチェック実施率は34.6%にとどまり(令和5年労働安全衛生調査)、メンタルヘルス対策が不十分だった


・準備支援: 厚生労働省は2026年2月に「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」を公表済み


義務化までのロードマップ


・2025年度: ワーキンググループ設置、小規模事業場向けマニュアルの検討


・2026年度: マニュアル公表(2026年2月に公表済み)、企業の準備期間


・2028年5月まで: 全事業場でのストレスチェック義務化スタート


50人未満の企業は、今から準備を始めることを強く推奨します。 義務化される前に体制を整えておくことで、スムーズに対応できます。


実施頻度と時期


年1回以上の実施が義務づけられています。多くの企業では定期健康診断と同時期に実施していますが、別の時期に行うことも可能です。


実施者と実施事務従事者


ストレスチェックの実施者は、医師(産業医)、保健師、または一定の研修を受けた看護師・精神保健福祉士が担当します。産業医がストレスチェックの実施者を兼ねられるかどうかは、産業医選任時に確認すべき重要なポイントです。



ストレスチェック実施の流れ


ステップ1:社内規程の整備


ストレスチェックの実施にあたって、以下の事項を事前に決定する必要があります。50人以上の事業場では衛生委員会で審議し、50人未満の事業場では関係労働者の意見を聴く機会を設けて決定します。


・実施時期と方法


・高ストレス者の選定基準


・面接指導の申出方法


・結果の保存方法と保存期間(5年間)


・不利益取扱いの防止に関する事項


ステップ2:ストレスチェックの実施


厚生労働省が推奨する「職業性ストレス簡易調査票」(57項目版)を使用するのが一般的です。80項目版の「新職業性ストレス簡易調査票」を使用する企業も増えています。


オンラインでの実施が主流になっており、外部の実施機関を利用するケースが多くなっています。


ステップ3:個人結果の通知


ストレスチェックの結果は、実施者から直接本人に通知されます。本人の同意なく、事業者が個人の結果を見ることはできません。 この点は法律で厳格に定められています。


ステップ4:高ストレス者への面接指導


高ストレスと判定された従業員が面接指導の申出を行った場合、事業者は産業医等による面接指導を実施する義務があります。


ここが実務上の大きなポイントです。高ストレスと判定されても、面接指導を申し出る従業員はごくわずかというのが現実です。薮野淳也の産業医としての実感でも、高ストレス者のうち面接指導を申し出る割合は非常に低い傾向にあります。


ステップ5:集団分析と職場環境改善


ストレスチェックの結果を部署ごとに集計・分析し、職場環境の改善に活かすことが努力義務とされています。この集団分析こそが、ストレスチェックの最も重要な活用法です。


ステップ6:労働基準監督署への報告(50人以上の事業場)


50人以上の事業場では、ストレスチェックの実施結果と面接指導の実施状況を、毎年、所轄の労働基準監督署に報告する義務があります。50人未満の事業場には、現時点ではこの報告義務はありません。



ストレスチェックを「やりっぱなし」にしないために


高ストレス者が面接指導を申し出やすい環境づくり


高ストレス者が面接を申し出ない最大の理由は、「会社に知られたくない」「不利益を受けるのではないか」という不安です。


薮野淳也が産業医として実践している工夫:


・面接指導の申出が不利益につながらないことを明文化し、全従業員に周知する


・ストレスチェック後に全員面談を実施する企業もある — 高ストレス者だけでなく全員が面談を受けることで、「面談を受けた=高ストレス」というスティグマを防ぐ


・オンライン面談の選択肢を用意する — リモートワーク環境でも気軽に相談できる体制を整える


集団分析の活用


集団分析の結果を衛生委員会で共有し、具体的な改善アクションにつなげることが重要です。


・仕事の量的負担が高い部署: 業務の再配分、人員の補充を検討


・上司の支援が低い部署: 管理職向けのラインケア研修を実施


・職場の一体感が低い部署: チームビルディングの機会を設ける


当社ではCrossFit Aoyamaを活用した従業員向けチームビルディングプログラムや、WellFitプログラムによる健康セミナーを通じて、職場環境の改善を支援しています。


メンタルヘルス不調者の早期発見・早期対応


ストレスチェックはあくまでスクリーニングツールです。高ストレスと判定された従業員には、必要に応じて専門の医療機関への受診を勧めることも重要です。


当社ではStay Fit Clinic(心療内科・内科)と連携し、産業医面談から診療までシームレスに対応しています。



よくある質問


「50人未満の会社でもやるべきですか?」


努力義務ですが、実施することを推奨します。 メンタルヘルス不調は企業規模に関係なく起こり得ます。50人未満の事業場でも助成金(小規模事業場産業医活動助成金)を活用して実施できるケースがあります。


「ストレスチェックの費用はどれくらいですか?」


外部機関に委託する場合の費用は、委託先や実施方法によって大きく異なります。 産業医がストレスチェックの実施者を兼ねる場合、追加費用が発生するかどうかは契約内容によります。費用については「嘱託産業医の費用相場」も参考にしてください。


「結果が悪かったら会社に報告されますか?」


個人の結果は、本人の同意なく事業者に報告されることはありません。 これは法律で明確に定められています。産業医にも守秘義務があります。



なべふぁのストレスチェック支援


株式会社なべふぁでは、代表の薮野淳也(社会医学系専門医・認定産業医)がストレスチェックの実施者を務めるとともに、実施から集団分析、職場環境改善までトータルで支援しています。


・ストレスチェック実施者としての対応


・高ストレス者への面接指導


・集団分析に基づく改善提案を衛生委員会で実施




産業医の選任・変更をご検討中の企業様は「良い産業医の選び方」もご覧ください。




 
 
 

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