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GW明けに社員が欠勤したら|人事が最初の1週間で取るべき対応と産業医面談のタイミング

  • 執筆者の写真: Nabefa
    Nabefa
  • 2 日前
  • 読了時間: 8分

GW明けの最初の週に、新入社員や若手社員から「体調不良で休みます」という連絡が入る。しかも、翌日もその翌日も続く──。


この「連休明けの欠勤連絡」は、毎年5月の人事・労務部門で繰り返される光景です。単なる風邪で済むこともあれば、適応障害やうつ病の初期サインであることもあります。


本記事では、株式会社なべふぁ代表で産業医としても15社以上の企業を支援してきた薮野淳也が、連休明けに社員が欠勤した際に人事・管理職が取るべき初動対応と、産業医面談につなぐタイミングを解説します。


GW明けに社員が欠勤したら|人事が最初の1週間で取るべき対応と産業医面談のタイミング
GW明けに社員が欠勤したら|人事が最初の1週間で取るべき対応と産業医面談のタイミング

GW明けの欠勤はなぜ「黄色信号」なのか


4月は新入社員・異動者・昇進者にとって、強いストレスがかかる時期です。緊張感の中で1か月を過ごし、GWで緊張の糸が切れる。再び仕事に戻るタイミングで、それまで蓄積していた疲労とストレスが一気に表面化します。


厚生労働省の「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)」によると、仕事に強い不安やストレスを感じている労働者の割合は82.7%に達しています。GW明けの欠勤は、この「普段から8割がストレスを抱えている」状態に、環境変化と連休の反動が重なった結果として起きます。


産業医の目線で言えば、GW明け最初の1週間の欠勤は「単なる体調不良」ではなく、メンタル不調の初期サインであることが少なくない時期です。早期発見・早期対応ができるかどうかで、その後の経過が大きく変わります。



ゴールデンウィークの連休明けの欠勤で見るべき3つのパターン


欠勤のパターンによって、取るべき対応は変わります。


パターン1:単発の体調不良


・連休明け1〜2日だけ休み、その後は出社できている


・明確な症状(発熱、腹痛、風邪症状など)がある


・家族や同居人に同じ症状がある


このパターンは、連休中の感染症や疲労による一時的な体調不良であることが多く、基本的には様子見で問題ないケースです。ただし、その後の勤怠変化にはしばらく注意が必要です。


パターン2:欠勤が連続または繰り返される


・2日以上連続で休んでいる


・週に2〜3回の頻度で欠勤が続く


・遅刻・早退が増えている


・欠勤連絡が直前、または事後になることが増えた


このパターンは明確な黄色信号です。単なる体調不良ではなく、出社すること自体に強い負荷を感じている可能性があります。早めに人事・管理職側からアプローチすべきです。


パターン3:欠勤連絡が途絶える


・連絡なしの無断欠勤


・連絡はあるが詳細な説明がない


・電話やメッセージへの返信が遅い、または返ってこない


このパターンは赤信号です。すでに本人のエネルギーが底を尽いている、あるいは受診・相談のタイミングを失っている可能性があります。緊急性の高い対応が必要です。



最初の1週間で人事が取るべき対応


Day 1:欠勤連絡への応答


欠勤連絡を受けた時点で、以下を記録します。


・欠勤連絡の時刻・手段(電話・メール・チャット)


・本人からの説明内容


・本人の声のトーン、文面の様子


この時点で大切なのは、責めないことです。「どうして急に休むの」「連絡が遅い」などの反応は、本人の「もう会社に戻れない」という感覚を強めます。


「体調を優先してください。明日以降の状況もまた連絡してください」程度の返信で十分です。


Day 2〜3:状況のモニタリング


欠勤が続く場合、以下を意識して情報を整理します。


・4月からの勤怠記録(遅刻・早退・残業時間・有給取得)


・直属上司が感じていた本人の様子


・本人の所属部署での業務負荷


・同期・同僚から見た本人の様子


勤怠記録を見ると、すでに4月の後半から徐々に欠勤や遅刻が増えていたというケースが少なくありません。GW明けの欠勤は、そこから続く「最後のサイン」であることが多いです。


Day 3〜5:本人との接触


欠勤が3日以上続く、または断続的に続く場合は、人事から直接本人に連絡します。ここで重要なのは、「出社要請」ではなく「状況確認と本人のケア」のスタンスで接触することです。


連絡の基本スクリプトは以下のようなイメージです。


「お疲れさまです。体調いかがですか。まだつらい状態なら、無理をせず、もう少し休んでいただいても問題ありません。


ただ、こちらとしてもサポートできることがあれば提案したいので、少し状況を教えてもらえると助かります。医療機関には受診されていますか?」


この段階で確認したいのは、以下の3点です。


1. 医療機関を受診しているか


2. 何らかの診断を受けているか(受けていれば内容)


3. 今、何に一番困っているか


診断書がまだ出ていない段階で「休職したいのかどうか」を問うのは時期尚早です。まずは「何に困っているか」を聞くに留めます。


Day 5〜7:産業医面談の打診


5日以上の欠勤が続く、あるいは欠勤連絡の様子から明らかにメンタル不調が疑われる場合は、産業医面談を打診します。


打診の際のスクリプト例:


「会社には産業医がいて、社員の健康相談に対応しています。医療機関とは独立した立場で、職場の事情も理解している専門家です。


面談は、診断をつけたり治療をしたりするものではなく、今の状況を整理するためのものです。オンラインでも対応可能です。受けていただくかは任意ですが、一度話してみませんか?」


産業医面談は、従業員にとっての「相談の場」であると同時に、企業にとっての「客観的な評価の場」でもあります。主治医とは独立した立場から、就業可否・配慮事項・復職可否などの意見を得られます。



産業医面談につなぐべきタイミング


産業医面談の依頼をためらう人事の方もいらっしゃいますが、以下のいずれかに該当する場合は早めの面談依頼を強く推奨します。


・欠勤が5日以上続いている


・月の欠勤・遅刻・早退が3回以上


・メンタル不調を疑わせる言動がある(「消えたい」「もう無理」など)


・診断書が提出された


・上司・同僚が「明らかに様子がおかしい」と報告している


・本人から「相談したい」と申し出があった


産業医面談は、従業員本人にとっても負担が少ない選択肢です。受診するほどではないと感じている段階でも、面談なら受けやすい。企業として「話を聞ける場を用意した」こと自体が、従業員の離職防止につながります。



欠勤対応で人事が絶対にやってはいけないこと


復帰時期の確約を求める


「いつから出社できる?」「GW明けの来週には戻ってこられる?」という質問は、本人を追い詰めます。復帰時期は医師の判断であり、人事が詰める項目ではありません。


本人抜きで噂を広げる


「○○さん、メンタル壊したらしい」という話が社内に広がることは、本人の復職意欲を著しく下げます。欠勤情報は厳密に守秘義務の対象です。関係者(直属上司・人事・産業医)以外には共有しないのが原則です。


「甘え」「気合い」で片付ける


適応障害やうつ病は、DSM-5・ICD-11で正式に定義された疾患です。「最近の若い人は」「気合いが足りない」という反応は、企業の安全配慮義務違反に該当するリスクがあります。


診断書を待たずに退職を打診する


メンタル不調の疑いがある段階で退職を示唆することは、裁判でも企業側が不利になるケースが多いです。必ず医師・産業医の意見を挟んでから対応してください。



新入社員の場合の特別な配慮


入社1か月での欠勤は、本人にとって「この会社を続けられるかどうか」の試練になります。対応を誤ると、そのまま離職につながります。


新入社員特有のリスク


・入社同期との比較で自分だけ「できない」と感じやすい


・相談できる社内ネットワークが未構築


・試用期間中という不安から、体調不良を隠しがち


・「辞めたい」と「続けたい」が短時間で入れ替わる


新入社員への初動


・「まだ1か月です。焦らないでください」と最初に伝える


OJT担当者・メンターを巻き込みすぎない(本人の重荷になる場合あり)


・試用期間と健康状態は独立であることを明示


・可能であれば、産業医面談を早めに設定する


試用期間中の休職や労務対応の詳細は、「試用期間中の休職について」でも解説しています。



欠勤対応を「初動の仕組み」として整える


連休明けに慌てて対応するのではなく、平時から以下の仕組みを整えておくことをおすすめします。


1. 欠勤時の連絡ルートを明確化


誰に・どの手段で・いつまでに連絡するか。連続欠勤時のエスカレーションルート(人事→産業医→医療機関)も事前に定める。


2. 産業医面談の導線を開いておく


「何日以上の欠勤で産業医面談を打診する」といった社内ルールを決めておく。従業員にも「いつでも産業医に相談できる」ことを周知する。


3. 管理職向けラインケア研修


部下の不調に早期に気づき、適切に人事・産業医につなぐスキルを管理職に身につけてもらう。特にGW前・年末年始前は、不調が顕在化しやすい時期として重点的に情報共有する。


4. 衛生委員会での情報共有


毎月の衛生委員会で、勤怠・欠勤傾向・メンタルヘルス相談件数などをモニタリングし、問題の芽を早期に発見する。



なべふぁの産業医サービスについて


株式会社なべふぁは、医療×運動×組織支援の三位一体モデルで産業医サービスを提供しています。


産業医面談: メンタル不調・長時間労働・復職支援・体調不良など、幅広い相談に対応


衛生委員会参加: 毎月の衛生委員会に参加、季節ごとの健康テーマを資料化・講話


セルフケア研修・ラインケア研修: 従業員向け・管理職向けの研修を実施


医療連携: 必要に応じて併設のStay Fit Clinic(心療内科・内科)での医療支援


復職支援: CrossFit Aoyama(厚労省認定・指定運動療法施設)と連携した運動療法プログラム


英語対応: 外資系企業での面談・報告書作成・セミナーに対応


GW明けの欠勤対応や、産業医選任のご相談、今の産業医契約の見直しなど、お気軽にご相談ください。


オンラインでの無料相談を承っています。




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株式会社なべふぁ 代表取締役

Stay Fit Clinic 院長 / CrossFit Aoyama オーナー

産業医・心療内科医・内科医

薮野淳也


著書:『産業医が教える 会社の休み方』(中公新書ラクレ, 2024年)



 
 
 

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