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「復職可能」の診断書が出たら|人事が確認したいことと産業医面談の進め方

9月14日
読了時間: 7分

「主治医から、復職してよいと言われました。診断書もあります」


休職中の社員からこう連絡を受けたとき、いつから、どの仕事に戻ってもらえばよいのでしょうか。本人の希望を大切にしたい一方で、現場から「今までどおり働けるのか」と相談され、人事が迷うこともあります。


診断書は、復職を考えるための大切な医学的情報です。ただし、受け取った瞬間に元の業務へ戻すことも、会社の不安だけで復職を先延ばしにすることも、適切とはいえません。


産業医の薮野淳也です。今回は、主にメンタルヘルス不調で休職した方の復職について、診断書を受け取った人事・管理職が何を整理し、産業医面談をどう進めるかを解説します。


復職に向けて社員・人事担当者・医師が話し合うイメージ

1.「復職可能」が、どの働き方を想定しているか確認する


「復職可能」は、「明日から残業や出張を含め、すべて元どおり働ける」という意味とは限りません。勤務時間や業務負荷を調整することを前提に、主治医が復職を考えている場合もあります。


まず、診断書に書かれた復職可能な時期、勤務上の配慮、再評価の必要性を確認します。書かれていない点があれば、診断書が不十分だと責めるのではなく、何を追加で確認したいか整理しましょう。


厚生労働省の手引きでも、主治医の判断と、職場で必要とされる業務遂行能力の確認は区別されています。病状の評価と実際の仕事の条件をつなぐことが、産業医等に求められる役割です。



2.面談前に、人事が整理したい5つの項目


面談で「復職できますか」とだけ尋ねても、どの仕事を、どの条件で行うのか分からなければ、具体的な意見を得にくくなります。次の項目を、分かる範囲で整理してください。


① 本人の希望と心配ごと


希望する復帰時期、担当したい仕事、不安に感じる場面を確認します。「早く戻りたい」という気持ちと、実際に続けられそうな働き方は分けて聞きましょう。会社に伝えにくい体調の話は、医師に相談できるよう案内します。


② 復帰先で実際に求められる仕事


「事務職」「営業職」という職種名だけでなく、勤務時間、通勤、締め切り、会議、顧客対応、出張、運転の有無などを伝えます。休職前から担当業務や上司、チーム体制が変わっている場合も、その違いを共有します。


③ 主治医の意見と追加で確認したいこと


診断書の内容と、会社が知りたいことを分けます。例えば「残業を控える」とあれば、どのような業務負担を避けたいのか、いつ見直すのかを確認する必要があります。本人の同意を得たうえで、産業医等を通じた主治医への照会を検討します。


④ 人事・職場で検討できる配慮


業務量の調整、時間外労働や出張の制限、通院時間の確保、相談担当者の設定など、実施できそうな選択肢を用意します。本人に約束する前に、現場の体制や社内制度との整合を確かめてください。


⑤ 社内手続きと次の連絡日


休職・復職規程、必要書類、面談の担当者、社内での決定手順を確認します。本人には「何を確認しているか」「次はいつ連絡するか」を伝え、理由が分からないまま待ち続ける状態を避けましょう。


3.産業医面談は、合否だけを決める場ではない


産業医面談では、健康状態と業務の条件を照らし合わせ、就業上の措置について医学的な意見を整理します。本人が戻りたい理由や不安、必要な支援も、話し合いの大切な材料です。


「戻れるか」だけでなく、「どの条件なら戻れそうか」を確認する場にしましょう。


主治医は診療と治療の経過を踏まえた意見を、産業医は職場の条件を踏まえた意見を示します。人事・事業主は、それらと本人の意向、職場の受け入れ体制を踏まえ、復職や配慮の内容を検討し決定します。


主治医と産業医の意見が異なるときは、どちらが正しいかを競うのではなく、想定している仕事内容や共有情報に違いがないか確認します。「主治医は短時間勤務を想定していたが、会社は通常勤務を想定していた」といった行き違いも整理が必要です。


面談で得た健康情報を、そのまま上司や同僚へ広く伝えることは避けます。利用目的と共有範囲を明確にし、職場には業務調整に必要な情報を中心に伝えるようにします。


4.就業配慮には限界がある。だからこそ具体的に検討する


就業配慮は、本人が希望する働き方をすべて無期限に約束することではありません。一方で、「うちでは無理」と検討を止めてよいわけでもありません。


例えば短時間勤務を検討するなら、勤務時間だけを減らし、同じ仕事量を求めていないか確認します。担当から外す業務があるなら、誰が引き受け、どの程度の期間続けられるかも整理します。


難しいのは「どの条件」なのかを明確にし、代替案を考えます。


元の担当への復帰が難しくても、一時的な業務変更や支援体制の調整で対応できるかもしれません。反対に、検討した配慮を行っても健康・安全面の懸念が残る場合は、主治医や産業医と情報を共有し、療養の継続を含めて再検討します。


配慮の必要性、職場で実施できる範囲、検討した代替案と判断理由を記録し、本人にも説明します。復職を認めない判断、休職期間満了、配置や賃金の変更などが関わる場合は、産業医の医学的意見だけで結論を出さず、弁護士・社会保険労務士等にも確認してください。



5.復職日と一緒に「見直し日」も決める


復職日は支援の終わりではありません。始める業務、当面控える業務、勤務時間、相談先、次の確認日を、短い文書にして共有すると認識を合わせやすくなります。


以下は復職支援メモの項目例です。会社の制度や本人の状況に合わせて調整してください。


・開始する業務と、当面控える業務


・勤務時間・休憩・通院への対応


・本人の相談先と、上司・人事の担当範囲


・次の確認日と、そのとき確認する項目


・体調や安全面に懸念が出た場合の連絡方法


見直し日は、配慮を自動的に終える日ではありません。勤務の安定、仕事の負担、本人の困りごとを確認し、医学的な意見も踏まえて、調整を続けるか変更するかを考えます。


よくある質問


復職の診断書があれば、産業医面談は省略できますか?


すべての復職に一律の手順を当てはめることはできません。自社の規程、業務の内容、必要な配慮などを確認してください。診断書だけでは働き方を判断しにくい場合は、産業医等に相談し、確認事項を整理することが有用です。


試し出勤は、必ず行うものですか?


一律の必須条件にするのではなく、目的と必要性を検討します。実施する場合は、療養への影響を主治医等に確認し、期間・内容・処遇・事故時の対応を事前に整理します。実態が業務に当たる場合などは、賃金を含む労務上の扱いも確認が必要です。


産業医がいない会社でも相談できますか?


外部の産業保健サービスに、診断書の確認や復職に向けた面談を相談する方法があります。なべふぁでは、休職・復職に関するスポットでの相談にも対応しています。対応範囲や費用は、相談内容を確認したうえでご案内します。


なお、産業医の選任義務がある事業場では、単発の相談が選任義務の代わりになるわけではありません。



まとめ


・復職可能の診断書を受け取ったら、想定される働き方と必要な配慮を確認する


・人事は業務内容・職場で検討できる調整・社内手続きを整理して面談につなぐ


・主治医・産業医の意見と本人の意向を踏まえ、会社として対応を検討する


・配慮が難しい場合も代替案を検討し、復職後の見直しまで計画する


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復職対応に迷う人事・ご担当者の方へ


「診断書は届いたが、何を確認したらよいか分からない」「必要な配慮と現場の体制が合わない」。そうした段階から、なべふぁの産業保健サービスへご相談いただけます。英語での面談が必要な場合も、相談時にお知らせください。


最初のお問い合わせでは、会社の状況と相談したい内容をお伝えください。本人を特定できる診断書や詳しい健康情報は、適切な共有方法をご案内する前に送らないようお願いいたします。



参考情報





執筆:薮野淳也(株式会社なべふぁ代表・産業医)


本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医学的判断や法的助言に代わるものではありません。復職や就業上の措置は、本人の状態、業務内容、就業規則等に応じて、主治医・産業医・労務の専門家と確認してください。


 
 
 

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