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長時間労働と産業医面談|月80時間超の従業員に企業がすべきこと

  • 執筆者の写真: Nabefa
    Nabefa
  • 2月24日
  • 読了時間: 6分

「残業が月80時間を超えた従業員がいるけど、産業医面談はどうすればいい?」


私、薮野淳也は産業医として、長時間労働者への面接指導を数多く実施してきました。特にIT企業やスタートアップでは、プロジェクトの繁忙期に残業が急増するケースが少なくありません。


長時間労働は、脳・心臓疾患やメンタルヘルス不調の重大なリスク因子です。企業には法律上の義務として、長時間労働者への産業医面談を実施する責任があります。


この記事では、長時間労働と産業医面談について、法的な義務、面談の流れ、実務上のポイントを現役産業医の立場から解説します。


長時間労働と産業医面談|月80時間超の従業員に企業がすべきこと
長時間労働と産業医面談|月80時間超の従業員に企業がすべきこと


長時間労働者への面接指導|法的義務を理解する


長時間労働に対する産業医面談が義務となる基準


労働安全衛生法では、以下の条件を満たす従業員に対して、医師(産業医)による面接指導の実施が義務づけられています。


・時間外・休日労働が月80時間を超えている


・本人が面接指導の申出を行った場合


2019年4月の働き方改革関連法施行により、研究開発業務従事者や高度プロフェッショナル制度対象者には、申出がなくても月100時間超で面接指導が義務となっています。


「月80時間」の意味


月80時間の時間外労働は、いわゆる「過労死ライン」として知られています。この基準を超える長時間労働が続くと、脳卒中や心筋梗塞のリスクが2〜3倍に上昇することが疫学研究で示されています。


また、月60時間を超える時間外労働はメンタルヘルス不調のリスクも高めることがわかっています。80時間はあくまで法律上の義務基準であり、それ以下でもリスクがないわけではありません。



長時間労働者への面接指導の流れ


ステップ1:労働時間の把握


面接指導の前提として、従業員の労働時間を正確に把握する仕組みが必要です。タイムカード、ICカード、PCログなど客観的な方法で記録し、月ごとの時間外労働時間を算出します。


自己申告制のみで労働時間を管理している場合、実態との乖離が生じやすいため注意が必要です。


ステップ2:対象者への通知


月80時間を超える時間外労働を行った従業員に対して、速やかに超過時間を通知し、面接指導の申出ができることを案内します。


ステップ3:産業医による面接指導


面接指導では、産業医が以下の項目を確認します。


・勤務状況: 労働時間、業務内容、休日の取得状況


・疲労の蓄積状況: 厚生労働省の「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト」を活用


・心身の健康状態: 睡眠の質、食欲、頭痛・肩こり等の身体症状、気分の落ち込み等の精神症状


薮野淳也の面接指導では、単なるチェックリストの確認にとどまらず、「なぜ残業が増えているのか」の根本原因を一緒に探ることを大切にしています。個人の問題なのか、組織・業務の問題なのかを見極めることが、実効性のある対策につながります。


ステップ4:事業者への意見書提出


面接指導の結果に基づき、産業医は事業者に対して就業上の措置に関する意見書を提出します。


・就業制限の要否: 残業の制限、休日労働の禁止、深夜業の制限


・就業の場所の変更: 在宅勤務への切替、配置転換


・休職の要否: 心身の状態が深刻な場合


・業務量の調整: 業務の再配分、人員の補充の提言


ステップ5:事後措置の実施


事業者は産業医の意見を踏まえ、適切な措置を講じる義務があります。面接指導を実施しただけで終わらせず、実際に就業環境を改善することが重要です。



長時間労働対策の実務ポイント


「申出がない=問題ない」ではない


法律上、面接指導は従業員の申出に基づいて実施されます。しかし、実際には面接指導を申し出る従業員は少数です。


薮野淳也が産業医として推奨している対策:


・月80時間を超えた従業員には、申出の有無にかかわらず産業医面談を実施する社内ルールを設ける


・月45時間超で人事部門から声かけを行う早期アラートの仕組みを構築する



管理職のマネジメント力が鍵


長時間労働の多くは、業務の偏り、非効率なプロセス、管理職のマネジメント不足から生じています。


・業務の可視化: 誰が何にどれだけ時間を使っているかを把握する


・業務の再配分: 特定の従業員に負荷が集中していないかチェックする


・「早く帰ろう」ではなく仕組みを変える: 精神論ではなく、会議の削減、資料の簡素化、権限委譲など具体策を実行する


管理職が部下の健康状態を把握し適切に対応するスキルは、ラインケア研修で身につけることができます。


メンタルヘルス不調のサインを見逃さない


長時間労働が続いている従業員は、メンタルヘルス不調に陥るリスクが高いことを認識しておく必要があります。


・睡眠時間が6時間を切っている


・休日も仕事のことが頭から離れない


・以前は楽しめていたことに興味がなくなった


・ミスが増えている、判断力が落ちている


こうしたサインが見られる場合は、早期に産業医面談を設定し、必要に応じて心療内科の受診を勧めることが重要です。当社ではStay Fit Clinic(心療内科・内科)と連携し、産業医面談から専門的な診療までシームレスに対応しています。



運動による疲労回復とストレス対策


長時間労働者へのアドバイスとして、薮野淳也が必ず伝えているのが運動の重要性です。


「忙しいのに運動する時間なんてない」と思われるかもしれませんが、適度な運動は疲労回復を促進し、睡眠の質を改善し、ストレス耐性を高めることが科学的に証明されています。


当社ではCrossFit Aoyama(厚労省認定 運動療法施設)で、1回60分の効率的なトレーニングプログラムを提供しています。「忙しい人ほど運動を」が、薮野淳也の信念です。



なべふぁの長時間労働対策支援


株式会社なべふぁでは、代表の薮野淳也(社会医学系専門医・認定産業医・MPH・著書『産業医が教える会社の休み方』)が、長時間労働対策を産業医の立場から包括的に支援しています。


・長時間労働者への面接指導の実施


・労働時間管理体制の構築支援


・衛生委員会での分析・改善提案





産業医の選任・変更をご検討中の企業様は「良い産業医の選び方」や「産業医選任の完全ガイド」もご覧ください。




 
 
 

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