部下のメンタル不調にどう声をかける?管理職が最初に確認したいこと
更新日:2 日前
会議で発言していた部下が、最近はほとんど話さない。締切の相談が増え、少し疲れているようにも見える。気になってはいるけれど、どこまで聞いてよいのか分からない。
そんなとき、気の利いた励ましの言葉を探す必要はありません。まずは仕事の中で気づいた変化を伝え、本人がどう感じているかを聞くことから始めます。
この記事は、診断書を受け取る前の、最初の声かけに焦点を当てています。以下の会話は説明用の例であり、実際の相談事例ではありません。

病名を推測せず、仕事の中で起きている変化を見る
遅刻、欠勤、確認漏れ、会議への参加の変化などは、話をするきっかけになります。ただし、それだけで適応障害やうつ病と判断することはできません。忙しさや身体の不調、家庭の事情など、背景はさまざまです。
『若いから打たれ弱い』『やる気が落ちた』と評価する前に、いつから、どんな場面で、どのような変化があったかを整理します。他の社員との比較ではなく、本人のこれまでとの違いが出発点です。
厚生労働省「こころの耳」のラインによるケアでも、普段との違いへの気づきや相談への対応が扱われています。病名を見抜くことが管理職の役割という意味ではありません。
最初の声かけは、評価ではなく確認から
観察したことと、気になっていることを分けて伝える
たとえば、『今週、締切を変更した仕事が2件あったので、負担が大きくなっていないか気になっています。仕事の進め方で困っていることはありますか』。本人が答えやすい具体的な状況から話し始めます。
『最近おかしいよ』『メンタルが弱いのでは』という言い方は、本人に反論や弁解を求める形になりがちです。指導すべき仕事の課題がある場合も、健康や負担の確認と、評価の話を混ぜないようにします。
落ち着いて話せる時間と場所を選ぶ
通路や同僚のいる席で、突然、体調や家庭の事情を聞くのは避けます。『少し二人で話す時間を取れますか』と相談し、話の内容が周囲に聞こえない場所を選びます。
その場で十分な時間を取れないなら、いつ話せるかを具体的に決めます。ただし、本人の安全が心配な切迫した状況であれば、後日の面談まで待つ対応にはしません。
相談する場の整え方や、聞いた内容の確認については、こころの耳「傾聴のポイント」も参考になります。
『大丈夫です』と言われたときにできること
大丈夫と言われても、無理に本音を引き出そうとする必要はありません。『分かりました。今の担当量や締切はどうですか』と、答えられる範囲の仕事の話に戻す方法があります。
それでも話したくなさそうなら、相談できる相手と次に話す機会を伝えます。『私に話しにくければ、人事や産業保健の窓口も使えます』と、上司以外の経路を示すことも大切です。
話したがらないことと、支援が不要であることは同じではありません。業務上の支障や安全面の懸念が続く場合は、管理職側から人事・産業保健スタッフに対応を相談します。
声のかけ方を読んで理解しても、実際の場面では迷うことがあります。管理職同士で対応を確認する研修を検討している方は、不調への気づきと声かけを扱うセミナーの内容をご覧ください。
話を聞いた後は、小さくても具体的な次の対応を決める
話を聞いて『無理しないで』で終わると、翌日の仕事はそのまま残ります。業務の負担が分かったら、その場で約束できることと、持ち帰って確認することを分けます。
今週の仕事で優先するものと、後回しにするものを整理する
担当や締切の変更について、誰に確認するか決める
本人が相談できる窓口を案内する
次に状況を確認する日を、本人と相談して決める
『仕事を全部減らします』など、権限や人員の確認前に約束しないことも重要です。調整には限界があり、職場での工夫だけでは対応できない場合もあります。
人事・産業医につなぐときの伝え方
引き継ぐ際は、観察した事実、本人から聞いたこと、管理職の推測を分けます。『適応障害だと思う』ではなく、『本人から朝に出勤しづらいと聞いた。今週の担当業務はこの内容』という形です。
健康や私生活の情報を、そのまま関係者全員に転送しないようにします。誰に何の目的で何を共有するかは、社内ルールや担当者の助言に沿って扱い、可能な限り本人にも説明します。
急な意識の異常など、生命や身体の安全に切迫した危険がある場合は、通常の相談予約ではなく救急要請を含めた緊急対応が必要です。管理職一人で判断・対応を抱えないようにしてください。
よくある質問
声をかけたら、病名や通院先まで聞くべきですか?
最初から詳しい病名や治療内容を聞き出す必要はありません。まずは仕事上の困りごとと、必要な支援を確認します。健康情報の確認が必要な場合は、目的と担当者を整理して、人事・産業保健スタッフ等と連携してください。
声のかけ方を研修で練習できますか?
架空の場面を使って、最初の一言、話の受け止め方、次の相談先へのつなぎ方を練習する構成が考えられます。決まった言葉を暗記するのではなく、自社の相談経路や管理職の権限に合わせて検討することが大切です。
声かけを、管理職個人の経験だけに任せない
誰が対応しても、仕事上の変化を確認し、必要な支援につなげられる。研修では、そうした共通の進め方を持ち帰ってもらうことを目指します。
なべふぁの適応障害マネジメントセミナーでは、不調への気づきと声かけ、仕事の整え方、休職・復職の対応を扱っています。
1回からのご依頼やテーマの調整もご相談いただけます。対象者、困っている場面、希望時期をお知らせください。料金はお問い合わせください。
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執筆者
薮野 淳也|株式会社なべふぁ 代表取締役・産業医・心療内科医
企業の産業保健業務と、Stay Fit Clinicでの働く方の診療に携わっています。著書『産業医が教える 会社の休み方』(中公新書ラクレ)。プロフィール・会社紹介
本記事は一般的な情報と実務上の整理例です。個別の診断・治療や法的判断に代わるものではありません。紹介画像は生成したイメージであり、実際の参加者・開催風景ではありません。内容確認・更新日:2026年10月7日。






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