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心理的安全性を高めるチームビルディング|産業医が見る、成功する組織の特徴

  • 執筆者の写真: Nabefa
    Nabefa
  • 5月26日
  • 読了時間: 8分

こんにちは。産業医・心療内科医の薮野淳也です。


最近、人事のご担当者様とお話しすると、ほぼ必ず話題に上がるテーマが「心理的安全性」です。


ところが、その入り口で多くの企業がつまずいています。


「心理的安全性を意識した結果、社員に厳しいことを言えなくなった」

「『優しい職場』を目指したら、目標達成へのこだわりが薄れてしまった」

「研修はやったが、現場の対話は変わらない」


これらはすべて、心理的安全性を『ぬるい職場』と取り違えた結果起きている現象です。


実際、厚生労働省「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)」では、現在の仕事や職業生活に関して、強い不安・悩み・ストレスを感じている労働者は82.7%にのぼりました(厚生労働省, 2024)。さらに令和6年調査では、メンタル不調により連続1か月以上休業した労働者または退職した労働者がいた事業所が12.8%に達しています。


つまり、現場のストレスは依然として高水準で、組織の中で「言いたいことが言える状態」がつくれていない実態が見えてきます。


本記事では、産業医・心療内科医として15社以上の企業現場を見てきた立場から、心理的安全性の正しい理解と、それを高めるためのチームビルディングの具体策をお伝えします。


心理的安全性を高めるチームビルディング|産業医が見る、成功する組織の特徴
心理的安全性を高めるチームビルディング|産業医が見る、成功する組織の特徴

「ぬるい職場」ではない、心理的安全性の本当の姿


心理的安全性(Psychological Safety)の概念は、ハーバード・ビジネス・スクールのエイミー・エドモンドソン教授が提唱したもので、「対人関係においてリスクのある行動をとっても、このチームでは安全だと信じられる状態」を指します。


日本で最も読まれている解説書、石井遼介氏『心理的安全性のつくりかた』(日本能率協会マネジメントセンター、2020年・20万部突破)では、日本の組織文化に合わせて4つの因子で整理されています。


1. 話しやすさ — 地位や立場に関係なく、意見や質問が言える


2. 助け合い — ミスや困りごとで助けを求められる


3. 挑戦 — 新しいことに踏み出せる


4. 新奇歓迎 — 個性や違いを歓迎する


この4因子を見ていただくと分かる通り、「優しいだけの職場」とはまったく違うものです。むしろ「率直に意見を交わす」「失敗を共有して学ぶ」「挑戦を後押しする」といった、目標達成のための健全な摩擦が起きる職場こそが心理的安全性の高い職場です。


九州大学・山口裕幸教授(チーム研究の第一人者)も、医療の質・安全学会誌の論文「組織の『心理的安全性』構築への道筋」(2020年)の中で、心理的安全性は組織のパフォーマンスを高めるための土台であり、決して「対立を避ける」「優しくする」ことが目的ではないと指摘しています(山口, 2020)。


心理的安全性が上がらない企業の3つの共通点


産業医として複数の企業の現場を見ていると、心理的安全性に取り組んでも成果が出ない企業には、いくつか共通点があります。


共通点1:個人へのアプローチだけで終わっている


「メンタル不調者には1on1を増やそう」「ストレスチェックで高ストレス者を面談」——これらは大切な施策ですが、個人だけに介入しても、職場全体の対話の質は変わりません


共通点2:管理職研修で終わっている


「上司の聞き方を変えれば変わる」と期待して管理職研修を実施しても、チーム全体の関係性が変わらなければ、現場の対話は元に戻ります


共通点3:「優しくしよう」の誤解


心理的安全性を「対立を避けること」と捉えてしまい、本来必要な指摘やフィードバックが減ってしまうケースです。これは結果的に、組織のパフォーマンスを下げてしまいます。


産業医視点での3つの土台


私が産業医として企業を見るとき、心理的安全性の前提として、3つのレイヤーで組織を捉えています。


レイヤー1:個人の心身が整っている


睡眠・食事・運動・人とのつながり。土台となる健康が崩れていると、どんなに発言を促されても、率直な意見を出すエネルギーすら残りません。


レイヤー2:組織との負荷バランス


業務量と本人のキャパシティが大きくずれていないか。常に締切に追われ、余白がない状態では「助けを求める」「挑戦する」余裕は生まれません。


レイヤー3:適材適所


その人の強みが活きる役割になっているか。「ここにいていい」「自分の役割がある」と感じられて初めて、率直な発言や挑戦が可能になります。


この3つの土台が整っていない状態で「心理的安全性を上げよう」と言っても、空回りします。


最新エビデンス:心理的安全性を高める3つの介入ポイント


2025年に発表された甲谷勇平ら(慶應義塾大学・広島大学)の論文「心理的安全性向上のための実践的介入に向けた知見の整理と今後の展望」(産業・組織心理学研究, 38巻2号)では、ナラティブレビューにより、実践的介入のポイントとして6つのテーマが整理されています(甲谷ら, 2025)。


その中でも、企業で特に重要なのは次の3つです。


1. チームアプローチの必要性

個人ではなくチーム単位で介入することが効果的。


2. コミュニケーションの構造化

「自由に話して」では話せない。発言の機会・順番・テーマを設計する。


3. 第三者介入の有効性

社内の利害関係から独立した第三者が入ることで、本音の対話が引き出される。


産業医・外部コンサルタント・コーチなど、「組織の中の人ではない誰か」がファシリテーターとして関わることで、心理的安全性の介入は格段に効きやすくなる——これが2025年時点での日本の最新研究の結論です。


チームビルディングが「効く」メカニズム


ではなぜ、チームビルディングが心理的安全性を高めるのでしょうか。


立教大学・中原淳教授『チームワーキング ケースとデータで学ぶ「最強チームのつくり方」』や、前述の山口裕幸教授の研究では、チームが機能するためには「共通体験」→「相互理解」→「信頼」→「発言しやすさ」という流れが重要だと指摘されています。


つまり、いきなり「率直に意見を言って」と求めるのではなく、共通の体験を通じて相手の人間性を知り、信頼が積み上がり、その結果として率直な発言が出てくる——この順序が大切です。


なお、職場の心理的安全性を可視化するには、東京大学大学院医学系研究科・佐々木那津らが開発した「職場の心理的安全性尺度(日本語版)」が使えます(東京大学, 2022)。リーダー行動・同僚行動・チーム全体の3セクション計19項目で、介入前後の変化を客観的に追えます。


運動を介したチームビルディングという選択肢


ここからは、産業医であり、同時にCrossFit Aoyama(厚生労働省認定の指定運動療法施設)のオーナーでもある立場からの提案です。


座学の研修だけでは、頭では理解しても感情までは動きません。一方、身体を一緒に動かす体験は、言葉を超えたノンバーバルな信頼を生み出します


たとえば、ペアでのワークアウトでは、相手のペースに合わせたり、声をかけ合ったり、しんどい瞬間を共有したりします。職場では見えない「素の表情」が出る場面です。


私たちが提供しているWellFitプログラムは、この発想に基づいて構築されています。


産業医による現場目線のヘルスケアセミナー(メンタルヘルス・睡眠・運動の科学的根拠)


CrossFitチームビルディング(身体を動かしながら相互理解を深める)


Stay Fit Clinicによるアフターケア(必要な人には心療内科・内科で個別対応)


実際に株式会社hacomono様で実施した際は、「普段話さない部署のメンバーと素で話せた」「上司の意外な一面が見えた」といった声をいただきました。


なべふぁの統合モデル — 産業医 × クリニック × CrossFit


心理的安全性とチームビルディングを本気で進めるには、「個人の健康」「組織の対話」「身体を介した信頼形成」の3つを同時に動かす必要があります。


株式会社なべふぁでは、以下の3領域を自社内で統合運用しています。


産業医サービス(15社以上の嘱託契約実績、外資系・上場企業含む)


Stay Fit Clinic(働く人のための内科・心療内科)


CrossFit Aoyama(厚生労働省認定 指定運動療法施設)


「健康診断後の面談」「ストレスチェック後の集団分析」「メンタル不調者の復職支援」「組織の心理的安全性介入」「チームビルディング研修」まで、一気通貫で設計・実行できる体制を整えています。


まとめ


心理的安全性は「ぬるい職場」ではありません。率直に意見を交わし、挑戦し、助け合える職場を指します。


そのために必要なのは、


1. 個人の心身の土台を整える


2. 組織との負荷バランスを調整する


3. 適材適所をつくる


4. チーム単位で、構造化された対話を、第三者の関わりとともに進める


5. 身体を介した共通体験で、ノンバーバルな信頼を積み上げる


——という積み重ねです。


「研修だけでは現場が変わらない」とお悩みのご担当者様、ぜひ一度ご相談ください。御社の現状に合わせて、産業医視点での組織診断とチームビルディングプログラムをご提案します。



なべふぁ代表/産業医・心療内科医 薮野淳也


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✔ 職場のメンタル不調が増えている

✔ 心理的安全性・チームビルディングに本気で取り組みたい

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→ 法令遵守で終わらせない産業医サービスを届けています。


【運動支援】CrossFit Aoyama(厚労省認定 指定運動療法施設・医療費控除対象)

チームビルディング・運動療法の場としても活用可能です。


【医療支援】Stay Fit Clinic(働く人のための内科・心療内科)

産業医面談の延長で、必要な社員には個別治療まで一貫対応します。


【書籍】産業医が教える 会社の休み方(中公新書ラクレ)


 
 
 

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